第33回テレクラス国際テレビ会議

行事名:大阪ーソウル 「テレクラスが結ぶ地域社会」

日時 :平成9年12月1日 (月)午後3:00ー4:00

場所 :帝塚山学院泉ヶ丘中高等学校LL教室

KDDソウル事務所

テーマ: ISDNテレビ会議を用いた韓国との共同学習企画

「 地域に見られる「韓国」ーー 陶器山の歴史」

主催 :テレクラス・インターナショナル・ジャパン

財団法人マルチメディア振興センター

後援 : 郵政省

国際電信電話株式会社

設定 :INS64並びに国際ISDNサービスを利用した国際テレビ会議

ISDNの回線とテレクラス側所有の会議システムで韓国と接続し、

PCL教室のコンピュータのモニターに映像を流す。

参加校: 帝塚山学院泉ケ丘中高等学校国際科1年生 76名

正義女子高等学校(Jeung-Eui Girls' High )ソウル

発表者:各5名

Jeung-Eui Girls' High

使用言語: 日本語・韓国語

(以下、帝塚山学院泉ケ丘中高等学校国際科 辻先生記)

目的:

韓国研修旅行の準備学習としての位置づけを与えるとともに、テレビ会議システムなど新しいメディアを体験・習熟させる。六甲合宿(韓国の高校から2名参加)に続く企画として考える。

趣旨:

日韓両国の歴史的な交流関係から、日本各地に韓国の事物が今も存在している。帝塚山学院泉ケ丘中高等学校の裏山は陶器山と呼ばれ、その昔、渡来人が陶器を作っていた。今も、陶器の破片が発掘され、資料館に収められている。 しかし、この陶器山が、いつごろから、どのような経緯で渡来人によって陶器が作られるようになったのか、あまり、知られていない。そこで、泉ヶ丘資料館の館長をゲストに迎え、日韓双方の高校生が、陶器山の歴史から、日韓交流の歴史を学習する。言語は、韓国の日本語教育研究会の協力を得て、日本語を基本とする。なお、帝塚山学院泉ケ丘中高等学校では選択の第二外国語として韓国語を導入しており、韓国人の教員(李章柱先生)が担当している。当日は、李先生の協力を得て、スムーズな会議の進行を図る。

概要:

会議次第

日本側の生徒は日本語で話し、李章柱先生に通訳を依頼。

韓国側の生徒は韓国語で話し、李煕淑先生に通訳を依頼。

韓国語や日本語を学んでいる生徒が簡単な言葉で話すこともよい。

1. 生徒による双方の学校の自己紹介・学校紹介 10分

帝塚山は、韓国語で。写真を見せながら。複数生徒OK(5分)

韓国の学校は、日本語で簡単な自己紹介をした後、韓国語で学校紹介

(李煕淑先生による通訳 5分)

2. 生徒によるワンポイント韓国語・日本語指導

3. 歌の交換 (5分)本校の生徒の発表

4. 陶器山の写真紹介 2分

クロスカントリーや陶器山マラソンで走ったり、散歩道として

利用されているなど紹介。

5. 資料館館長の紹介と館長による陶器山の概略 10分

6. 質疑応答 30分

クイズやアンケート形式を盛り込んで行う。

例:陶器山に韓国から渡来したのは西暦××世紀?

館長さんがコメントをつけながら解答していただく。

担当教員

学年団 岩崎、薮本、副担任(鮎川、笹、辻)

司会進行 辻

語学関係 李

機材 沢村

協力

高木(テレクラスインターナショナルから)

中原(KDD)

郷土資料館職員

まとめ: アンケート結果(帝塚山学院高校・辻先生の報告より)

1.自己紹介・学校紹介

本校の生徒は韓国語で、韓国の生徒は日本語で自己紹介を行い、学校紹介は、韓国

の生徒は日本語で、本校の生徒も日本語で行い、通訳は李先生が行う。

自己紹介は、本校の生徒は家族や好きな食べ物について話したが、韓国の生徒は、

自分の性格が主。特に、「いたずらが好き」という言葉(2名)や「いじっぱり」

(1名)と紹介する言葉が耳に残ったが、「私は韓国を愛しています」という発言

には、本校の生徒から、どうっというざわめきが起こった。

学校紹介では、本校の生徒は、食堂の食事や人気のある若い男性教諭の写真などを

紹介していたが、韓国の生徒は、正義女子高校は、独立運動家の創設者が20年前

に創設した学校で、道峰山のふもとにある景色の美しい学校だと、ここでもお国柄

をあらわす説明をしてくれた。紹介の仕方も本校の生徒は、「恥ずかしい」と言い

ながら、もたもたしていたが、韓国側は、きっちり決めている、そういう印象を受

けた。

2.ワンポイント韓国語・日本語レッスン

本校の生徒は、「こんにちわ」「ありがとう」という言葉を、韓国側は「愛してい

ます」という言葉を教えたが、韓国側は、声をそろえて、元気よく「こんにちわ」「ありがとう」と本校の生徒の後について、繰り返していた。本校の生徒も一応

サランヘ(愛しています)と繰り返していたが、韓国ほど、しっかりした反応で

はなかった。

3.歌の交換

時間の関係で、省略しようとしたのだが、韓国側から、残念そうな声が聞こえてき

たので、韓国側のみ歌ってもらうことにした。歌の内容は、分断されている北と南

が早く統一されることを願うというものであった。これを日本語に直して歌ってく

れた。ここにも、韓国側の本会議にかける熱意が感じられた。

4.資料館館長の講演

本校の裏山の陶器山は、昔、韓国からの渡来人が、500年間、焼き物を焼いたと

ころで、今でも陶器の破片がでる。

泉本館長は、実物を見せながら、焼き物に見られる韓国の影響について詳しく話さ

れた。それぞれの時代の陶器の変化について解説されたが、次回は、もう少し、大

きな歴史的な流れを話ていただくと、さらに興味深いものと思われる。

5.質疑応答

時間の関係で、韓国側からの質問を受ける形になったが、韓国の生徒から、「シン

・サンピョンという人物を知っているか。有田焼きを日本にもたらした人だが」と

いう質問が本校の生徒に出された。本校の生徒も来年の韓国研修旅行を控えて、陶

器山の歴史など学習しているのだが、どちらかというと、まだ、韓国に関心が向い

ていない。したがって、韓国の生徒の日本に寄せる気持ちと本校の生徒が韓国にい

だく気持ちの間に大きな落差が感じられる。

総括

テレビ会議を通じて、韓国側の取り組みが本校の生徒より、真剣で、周到な準備が

感じられた。また、意識の上でも、本校の生徒は、国家や歴史など国の基本を考え

る姿勢は見られず、日常の身の回りに目が向いているのに対して、韓国の生徒は、

自己紹介、学校紹介から最後の質問の時間にいたるまで、韓国という国を意識させ

る発言があった。本校の生徒は、「私は韓国を愛しています」という韓国の生徒の

発言に、とまどいと驚きの声を上げたように、自分たちとは、相当、異質な高校生

像を韓国の生徒に対していだいたようである。次回は、もう少し、生徒間の意見交

換を主体にしたい。

アンケート結果より

全体の感想

・他の国と一緒に相手の顔を見ながらできるのは信じられない。

・日本側で進めていったがもっと韓国の生徒の意見を聞きたかった

・内容が濃いテレビ会議だった

・韓国の人と一緒に授業を受けることができたのでよかった

・自分の学校のことを知ってもらえたし、韓国ともっと友好的になりたいと思った。

・韓国側は本当に一生懸命にやってくれて、うれしかったけれど日本側は準備不足

だったと思う。日韓の力の入れ方に大きな差があった。

ソウルの学生の印象

・すごく礼儀正しくて自分たちの方が恥ずかしくなった

・私たちと同じように照れたり笑ったりして、住むところは違っても同じ高校生

だと思った

・日本語もきれいに話せていて、とても勉強されていると思った。

・とても自分の国に誇りにしていて、すごいなと思った

・とてもフレンドリーで日本語で紹介してくれるなどの努力がとても嬉しかった

韓国語ワンポイントレッスンの印象

・実際に使えそうなもので楽しかった ・おもしろかった

・短くて残念 ・もっと教えてほしいし、教えたい

・韓国語を選択しているので、わかったところもあって、嬉しかった

・難しい ・字などを見せたかった

資料館館長さんの講義を聞いて、日韓交流の歴史を学んで感じたこと

・ずっと昔にも日本と韓国が交流していたかと思うと不思議・すごいと思った

・昔のように、交流を深めたい

・過去のことで、異なる国の知らない人との共通点があるなんて、すばらしい。

・一番近い国なのに知っていることが少なくて残念だった

テレクラスに参加することは、どのように有意義であると思いますか。

・英語の聞き取りに強くなる。 会話の練習ができる。生の発音が聞ける

・お互いの学校の様子・文化を色々理解できる

・世界が小さくなったような感じ。お互いを知るチャンス。

・その場でわからないことを聞くことができるし、相手の表情がわかる

・その国の人の性格などがわかる ・人とのつきあいの勉強になる

教員の感想

以下は英語科の1教員の感想。

苦労した点としては、全員で打ち合わせができなかったこと。

もっと準備に時間をかける必要がある。

TIJ感想

数年来、テレクラスが希望していた国際間共同学習に帝塚山学院泉が丘高校が挑戦されるので、今回のテレビ会議は特別の関心を持っていました。参加する2つのクラスは、上記国際課のクラスと、ソウルは正義女子高等学校Kim先生のクラスで、今回の話題である「 地域に見られる「韓国」ー 陶器山の歴史」の中心となる泉ヶ丘資料館の館長を講師として迎えられました。日本語・韓国語への対応も考えられていて、館長の説明は多くの現物の資料とともに、興味深いものでした。

初めての試みであるため当初の計画通りには、なかなか行かないものですが、これからのテレクラス国際間共同学習のモデルを作っていただくためにも、TIJとして気付いたことを書きます。

概要で以下の部分があります:

4. 陶器山の写真紹介 2分

クロスカントリーや陶器山マラソンで走ったり、散歩道として

利用されているなど紹介。

5. 資料館館長の紹介と館長による陶器山の概略 10分

6. 質疑応答 30分

クイズやアンケート形式を盛り込んで行う。

例:陶器山に韓国から渡来したのは西暦××世紀?

館長さんがコメントをつけながら解答していただく。

実際には、5の陶器山の説明によって時間が大幅に取られ、6の質疑応答の時間が少なくなりました。また質問も少なかったのです。館長の説明の時間はレクチャーとして、双方の生徒は静かに受け身で聞いています。しかしながらその説明の大半は、出来れば事前に双方のクラスにメールで事前学習として準備され、それについて各自が質問を用意すれば、ハイライトの6が生かされたのではないかと思われます。テレクラス テレビ会議の特徴は、現物を見せられること、2クラスと講師間でリアルタイムのインタラクションが出来ることです。現物は十分に見せてもらえました。が、インタラクションの面では、時間配分・興味の盛り上げ方など、講師とソウルと大阪の先生同士による「双方の参加生徒にとって生きたテレクラス」の為の事前打合せや、それに伴う生徒の事前学習が必要になるのではないかと思います。

(TIJ 高木)