CEC成果報告会
日時:2001年3月3日(土) 9時30分より報告開始
持ち時間 報告15分 質疑応答 5分
場所:東京ドームホテル
報告者:テレクラスインターナショナル・ジャパン 赤木
取手第一中学校 田鍋先生
玉陵中学校 吉富先生
八代中学校 小松先生
報告内容


今回の「小さな声を聞きとろう」というプロジェクトは,テレクラスインターナシ
ョナルジャパンが企画したものです。テレクラスは,ここ15年ほどリアルタイム,
フェイス・ツウ・フェイスの交流をコーディネートしてきた民間のボランティア団体
です。
今回,先生方と一緒に海外との交流を行い,感動を共にすることをゴールにしてプ
ロジェクトを行ってきました。このプロジェクトは,2000年の2月29日に行わ
れたグローバルリープ2000の参加校の先生方から,プロジェクトの継続を望む声
が挙がり,長年暖めてきた,障害者と共に地域行政を作ることに焦点を当てたプロジェクトを企画しました。
また,このプロジェクトには,茨城から屋久島まで遠く離れた地域の5つの中学校
が参加することになりましたが,今回はいろいろな試みを通して「総合的な学習」の
方向性を探る試みになりました。例えば取り組みの形態については,茨城県の取手第
一中学校の田鍋先生は三年生のクラスとして参加,熊本県の玉陵中学校の吉富先生は
三年生の選択授業として参加,宮崎県の八代中学校の小松先生は部活動として参加,
というように様々です。どの参加パターンでも成功できました。詳しい成果について
はそれぞれの先生方から報告があります。

まず最初に先生方と「ワークショップ,ミーティング」を行いました。次に国内多
地のテレビ会議,地域での学習,国際交流を行い最後にまとめの国内のテレビ会議を
行いました。最後の会議では,様々な実践例や活動報告がありました。これらについ
て先生方に報告してもらいます。



熊本の玉陵中の吉冨です。
ハワイと交流をした玉陵中学校では,ボイスメイル,Eメイルそれから掲示板を使
って自己紹介から初めました。今回のプロジェクトは「乙武さんの本」をメインテー
マにしていましたので本やビデオを送ったりして今でも交流が続いています。
11月18日にテレビ会議でお互いの調査状況を報告し合いました。生徒たちは緊
張した様子で,一生懸命英語を理解しようとしています。写真は交流の様子で途中か
ら1対1の交流に変更しました。ペアにしたことで「私の相手」という気持ちがすご
く強くなりました。この写真は質問を交換している様子です。この写真は交流の最後
でとても楽しい雰囲気で交流を終えました。
この交流を続けてきて非常に面白い結果がでました。私は社会科の教員で生徒にと
って社会的な問題にしたい思いが強くあります。例えば,「日本や私たちの住んでい
る玉名が好きですか」このあたり(生徒の気持ち)が全て上がっています。全て5月
から11月にかけて上がっています。それから「世界で日本に興味がありますか」こ
れも上がっています。「私は世の中の役に立つ存在である。あるいは役に立ちたい」
という思いも向上しています。子供たちの感想からもいろいろな思いが分かります。
国際理解ということで異文化を理解すること,英語への思いというものが非常に高く
生徒たちのハートに迫ってきていることが分かります。
ワイパフ(ハワイ)との交流でうまくいたり深く交流ができた理由の一つには,1
対1の交流があったと思います。途中できたボイスメイルでは,何度の自分の相手の
声を聞きます。
これは偶然ですが,私は去年の夏休みに家族でハワイに出かけました。このときに
直接合って,お互いの思いや何がしたいのか,ついでに何月何日に(テレビ会議を)
します,とかいろいろなことを話して,私たち教師同士がつながったことが非常に大
きなことだと思います。

取手の田鍋です。
多地点のテレビ会議や交際交流を行う場合,テレクラスの方でコーディネートして
もらえます。ところで本校はスウェーデンを希望したのですが,やりとりがなかなか
成立しませんでした。それでも子供たちは,今やっていることを慣れない英語を使い
メイルにしていました。そんな関係で国際交流について話ができないので,国内の会
議がどのような意義を持ったかについて話します。
第1回の国内会議は6月に実施されました。ワークショップ,ミーティングの後で
行われたので全ての先生がどのような目的意識で行うか共通理解ができ,子供たちに
「こういうことでやろうよ」と話をした結果,普通であれば非常に重たいテーマなの
でなかなか活動意欲がわかないものですが,他の学校で同じテーマで活動している仲
間がいる,ということで「よしがんばるぞ」という意識付けに非常に役立ちました。
各校参加形態が違い本日来ていない八鹿中学校では学年の委員会活動として文化祭
での発表をめざしていました。そこで,文化祭でテレビ会議をしませんか,というメ
イルが届き熊本(玉陵中)と取手の3校で会議を持ちました。ここで,自分たちが活
動している経過等を比べて聞くことで「あそこまで出来るんだ」「じゃあ,あんな方
法でやってみようかな」と子供たちの工夫を生み出す上で非常によい刺激となりました。
その後,各学校での取り組みが進み第2回目の国内会議になりました。その会議の
場で素晴らしい実践内容が報告され,それをみんなでうまくまとめよう,という情報
交換が出来ました。今受け持っている生徒は3年生で卒業式前に発表会を計画してい
ます。が,実は(このプロジェクトは)進路を考える上で大きな意味を持ちました。
というのは,子供たちの中で自然発生的に「福祉に取り組んでみたい」という声があ
がってきました。なかなか福祉関係の学科は県内にはないのですが,福祉関係に進み
たいという意欲が見えてきました。ちなみに県立の推薦入試では「バリアフリーにつ
いてあなたの意識を聞かせてください」という小論文があり「頑張ってよかったよ」
という声が聞かれました。非常に有意義な活動が出来ました。

宮崎県の八代中学校の小松です。
今回本校が利用した技術を中心に説明します。本校は4月の異動時には「MS−D
OSのコンピュータ」しかありませんでした。そこで,本プロジェクト参加時に本校
で出来るものはフェニックスを利用したテレビ電話会議だけでした。このフェニック
スは電話線だけでテレビ会議ができるので,本校でも出来るということで第1回目の
テレビ会議に参加しました。テレビ会議のメリットは,「face
to face」で交流が行
えることです。八代中は,山間の学校で各学年の生徒数が5・60名と少なくなって
きており,他校との交流が多くありません。が,このような形(テレビ電話会議)で
交流が出来て生徒は大変喜びました。このように生徒にとってインパクトのある交流
が出来てよかったと思います。
続いて,メイルと電子掲示板の利用について報告します。本校はモンゴルの「フ
ューチャーコンプレックス」校と交流しました。メイルの交換ではモンゴルから来た
メイルを翻訳ソフトを利用して交流を行いました。本校の英語教諭は1人で10数人
がメイルを持っていきますと大変です。そこで,パソコン室全てのパソコンに翻訳ソ
フトを入れて対応しました。翻訳ソフトの利用にあたっては,最初子供たちの文章は
滅茶苦茶な英語に翻訳されました。そこで,日本語を英語に訳すときは,翻訳された
英語をもう一度日本語に翻訳しておかしな文章になるときは,元の文章がおかしいか
ら,元の文章を見直すこと,主語と述語をはっきり入れること,単文で書くこと,等
を注意点として気をつけさせました。特に元の文章が,重文や複文の場合は望む翻訳
が得られないので単文でメイルを書きもう一度翻訳して正しい日本語になればOKと
しメイル交換をさせました。
また,スクールオンラインジャパンと今回こられなかった屋久島の宮浦中の永留先
生に電子掲示板を作成していただきました。この(宮浦中の)電子掲示板は写真を貼
り付けることができ,お互いの顔を見ながら交流することが出来ました。1対1のメ
イルは自分宛のものですから深い交流が出来ます。また,このような電子掲示板は,
友達同士がどのような交流をしているのか見ることができ,自分に興味がある内容で
したら一緒に活動することもできるよさがあります。それぞれの技術の良さを取り入
れた交流を行うことが大切です。
最後に,3月10日にモンゴルとテレビ電話会議を行う予定になっています。モン
ゴルはISDNがないのでフェニックスは利用できません。そこで,インターネット
を利用したNetMeetingでテレビ会議を行うことになりました。準備段階では音がでな
かったり画が繋がらなかったりといろいろな問題がありますが,今後継続して交流し
ていくためにぜひ成功させたいと思います。


このような成果が上げられた要因として3つあげられます。1つ目は,前回国際交
流に参加し継続して国際交流を行いたいといった意欲のある先生方が手を挙げたこと
です。毎回過密スケジュールの中で熱意ある先生方が生徒を集め計画を実行していき
ました。2つ目には,関東から九州まで離れた地域の学校の参加でしたが6月のワー
クショップ,オフラインミーティングに先生方が参加し盛んに意見交換が行われまし
た。ミーティングの後にも更に残って下さり意見交換が一段と盛り上がって,その後
のメイリングリストでの意見交換がとてもスムーズに進みました。そして,新たな試
みやテストなど先生方のコラボレーションがうまくできました。3つ目には,今回参
加した先生方の教科が違ったことがあげられます。数学,理科,社会など教科を越え
た先生方が1つの地域に集まり話し合うことで生徒への投げかけなども決まりプロジ
ェクトの内容もバラエティーに飛んだものになりました。
国際交流が大きな目的にあげられたプロジェクトでしたが今回は英語の先生が1人
もいませんでした。ソフトを利用したり先生同士が知恵を出し合い協力することで解
決できたんだと思います。

今後の課題ですが,今回のプロジェクトで大変難しかったのが海外交流校の確保で
した。今回のプロジェクトでも国際交流がうまく行った県と難しい県の両方がありま
した。やるといってもぎりぎりになって「今回はできない」といった返事が来たり,
それでもやる気はあるので「もう少し先に」とか様々なケースがありました。
今回は,交流希望国を各学校からあげて限定して相手国を探したため,相手校の通
信環境が整っていなかったり,休暇等のずれがあったりしました。今後もこのような
こともあると思いますので,これらの事情を確認した上で1度失敗してもあきらめず
に続けることが大切だと思います。また,1人で悩まずテレクラに助けを求めること
もできます。
常にテレビ会議を行える設備が整った国は,まだまだ少ないですが,このような先
生方やコーディネータと協力して行うことが必要です。

このプロジェクトはまだまだ継続中でただいま「宣言文」を作るために電子掲示板
上でやり取りが続いています。また,田鍋先生が仰ったように3年生が卒業するまで
に最後のテレビ会議を行う予定やようやく通信環境の整ったモンゴルやフロリダとの
テレビ会議の準備が進んでいます。来期もこのプロジェクトを続けたいという声もあ
ります。来期はこのプロジェクトのシンボルである「五体不満足」の作者である乙武
さんに子供たちを会わせようという希望も捨ててはいません。このように今後も広が
りのあるこのプロジェクトを来期もできるように頑張りたいと思います。
(田鍋)最後に一言付け加えさせていただきます。
今回の発表代表者テレクラスインターナショナルジャパンの赤木恭子さんとなって
いますが,テレクラスインターナショナルジャパンは,全くの非営利でボランティア
の団体でこのようなコーディネートをしていただいています。いま,会場に代表の高
木洋子先生も来ています。このような団体がこのような活動をしてくれる以上,我々
はそれを最大限に活用して最大限に子供たちに何かを還元できるような活動をやって
いかなくてはいけない,ということをこのプロジェクトのまとめとして改めて思った
次第です。以上で発表を終わります。
